疾患と対処法

耳の病気と治療法

耳垢栓塞
症状 大量の耳垢によって外耳道がふさがれた状態。外耳道がぴったりと塞がれてしまうと、耳閉感や難聴を感じることがあります。また、鼓膜に耳垢があたっていると、耳鳴りを感じることもあります。
治療 耳垢鉗子や吸引除去を行います。また、耳垢が硬いときには耳垢水の点耳処置を行って、柔らかくしておいてから除去します。
外耳道異物
症状 外耳道に入る大きさのものは、全て異物となる可能性があります。昆虫の場合、激しい痛みだけでなく、鼓膜の穿孔をまねくことがあり危険です。おもちゃ、小石なども長い間放っておくと外耳炎を起こすことがあります。
治療 耳垢鉗子や吸引除去、洗浄を行います。生きた昆虫の場合は、点耳薬で虫を殺してから取り出します。
外耳炎
症状 耳掃除、水泳や洗髪後に起こる外耳道の化膿性炎症です。耳痛が激しく耳介を引っぱったり、押したりすると痛みが強くなります。
治療 耳垢鉗子や吸引除去、洗浄を行います。生きた昆虫の場合は、点耳薬で虫を殺してから取り出します。
外耳道湿疹
症状 耳かきによる刺激によって、中耳炎に続発することもあります。かゆみ、灼熱感、水溶性の耳だれが出ることもあり、炎症が強ければ痛みを伴うこともあります。
治療 外耳道の清拭後に薬剤を塗布します。
外耳道真菌性
症状 外耳道の湿潤、湿疹などでしめっている状態が続くと起こりやすくなります。カンジタやアスペルギス、その他のカビの寄生によって起こります。強いかゆみが特徴で、その他に真菌の菌膜が固まるために、耳が塞がった感じや難聴を感じることもあります。
治療 菌塊の除去および抗真菌剤の塗布、点耳を行います。

鼓膜の病気と治療法

鼓膜損傷
症状 耳掻き、マッチ棒などで誤って直接鼓膜を破る場合や、外耳道圧の急激な上昇(爆発、爆風、平手打ち)によって破れる場合があります。耳の痛み、耳鳴り、難聴の他、めまいを感じることがあります。
治療 中耳炎の予防に努めます。感染防止のため、抗生剤の内服をおこないます。穿孔の大きさにもよりますが、10日~数週間で傷はふさがります。それでも治らない場合、めまいが続く場合には手術が必要になることがあります。

中耳の病気と治療法

急性中耳炎
症状 風邪や上気道の炎症に続発することが多く、耳痛(激しい拍動性)、耳鳴り、難聴、耳閉感などもみられます。膿が排出されると、軽快していくことが多いです。
治療 安静にし、抗生剤、鎮痛剤、消炎剤を内服します。鼓膜の発赤や腫脹の強いものには切開し、排膿をおこないます。通常は1週間~10日で治癒しますが、難治性のもの、繰り返す症例にはアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、アデノイドなどの疾患を伴っていないか注意する必要があります。
慢性中耳炎
症状 急性中耳炎の不完全な治療、遷延化または頻回に繰り返された中耳炎の場合、起因菌の毒力が強い場合などに慢性化します。鼓膜には必ず穿孔を認めます。耳漏があり、難聴を伴います。時には頭痛やめまいを起こすものがあります。
治療 耳洗浄、起因菌に応じた抗生物質の点耳や内服治療をおこないます。保存的な治療でも症状が改善しない場合には、手術により耳漏を止めたり、難聴を改善させることもあります。
真珠腫性中耳炎
症状 慢性中耳炎のひとつに、上皮の落屑が鼓室のなかに入り込んで、周囲の骨を破壊して増大し続けるものがあります。悪臭のある耳漏、難聴も認めます。症状の増悪により、頭痛、めまい、顔面神経麻痺を起こすことがあります。
治療 手術により真珠腫を完全に摘出します。
滲出性中耳炎
症状 耳管は、正常時には嚥下(つばを飲み込む)やあくびの度に開き、鼓室内圧と外気圧と同じに保っていますが、働きが低下すると鼓室内は陰圧となって鼓膜が内へ引っ込み、鼓室内に水が溜まります。耳閉感、難聴、耳鳴りや自声強調(自分の声が響く)がみられます。
治療 原因疾患(上咽頭炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎)の治療をおこないます。通気といって、耳管咽頭口より中耳に空気を送る治療をします。治りが悪いときには、鼓膜を切開して鼓室に貯留した液を抜いたり、小さなチューブを鼓膜に留置しておく治療をおこないます。小児の場合、アデノイドや扁桃肥大が顕著であれば、手術を行うこともあります。
突発性難聴
症状 原因は不明ですが、血行障害、ウィルス感染などが考えられます。突然聞こえが悪くなり、耳鳴り、耳閉感やめまいを伴うこともありますが、多くは一側性であり、再発することはありません。
治療 ステロイド剤、血流改善、代謝改善剤、高圧酸素療法などがおこなわれます。難聴の程度にもよりますが、発症から出来るだけはやく治療を開始することが重要で、めまいを伴った症例は治りにくいとされています。
老人性難聴
症状 聴力は年齢とともに低下していきます。通常は左右差はなく、高い周波数から徐々に低下します。難聴が軽度の場合には日常生活にほとんど不自由はしませんが、聞き違えたり、語尾がはっきりしない等の症状が多いようです。
治療 日常生活に支障をきたすようであれば、補聴器の装用をおすすめします。
騒音性難聴
症状 難聴と耳鳴りが主な症状ですが、初期には4000Hzの聴力が障害されます。会話音域の聴力は正常なため初期には難聴を自覚しませんが、進行すると高音域・中音域・低音域まで障害が及びます。
治療 騒音下の職業に従事する場合は、耳栓をするなどの予防措置をおこないます。定期検診により、早期発見に努めます。

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