鼻の病気と治療法

鼻出血
症状 鼻中隔(鼻の仕切)には、血管が豊富なため出血しやすい場所(キーゼルバッハ部位)があります。鼻をかんだり洗顔後などに機械的刺激により起こってくる場合は、この部位からがほとんどです。
治療 軽度の場合には、綿球をつめて5分程度鼻を圧迫すると止まることがほとんどです。それでも止まらない場合には、薬液で腐食するか電気凝固が必要なので、耳鼻科に受診してください。繰り返す場合や血が止まりにくい場合には、他の疾患(血液疾患、高血圧、肝臓疾患)がないか検査が必要です。
急性鼻炎
症状 いわゆる鼻風邪で、風邪の合併症として起こります。寒気がして37~38度の発熱、頭痛や鼻閉が起こります。鼻汁は初めは水のようですが、次第に膿のようになります。
治療 安静にして解熱、鎮痛剤、点鼻やネブライザー治療をおこないます。
慢性鼻炎
症状 急性鼻炎の全身症状を欠くような症状が持続するものをいいます。鼻閉(特に交替制)、粘液性の鼻汁や頭重感を生じたり集中不能を起こすことがあります。
治療 下鼻甲介切開術、レーザー焼灼術などをおこないます。
アレルギー性鼻炎
症状 水性鼻汁、くしゃみ、鼻づまりを三主徴とします。一年中起こるものには、家のホコリ(ハウスダスト)、ダニ、カビ、動物の表皮などが原因として考えられます。また喘息やアトピー性皮膚炎が合併することもあります。
治療 ①アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)がわかっている場合には、原因物質の除去に努めます。
②特異的減感作療法:アレルゲンが確定したら、アレルゲンの抽出希釈液による減感作療法がおこなわれます。この療法は、1~3ヶ月目から効果が現れますが、一年以上継続しておこなう必要があります。
③抗ヒスタミン剤の内服、局所ステロイド剤の点鼻治療
④下鼻甲介切除術、レーザー焼灼術、ビディアン神経切除術などの手術療法がおこなわれることもあります。
花粉症
症状 アレルギー性鼻炎と症状は同じですが、草木の花粉が原因となっている場合を特に花粉症と呼びます。また、アレルギー性結膜炎により目のかゆみを伴うこともあります。
春:スギ、ヒノキ、シラカンバ、コナラ 等
夏:ハルガヤ、カモガヤ、オオアワガエリ、ススメノテッポウ 等
秋:ブタクサ、ヨモギ、カナムブラ 等
治療 花粉飛散が起こる数週間前より抗アレルギー剤の内服加療を開始します。花粉症では早期内服により、鼻症状の発症が抑えられるといわれています。その他、症状が出てからは、抗アレルギーと抗ヒスタミン剤の内服や、症状の強い人には抗ヒスタミン剤にステロイドを配合した薬を内服することもあります。局所的には、点鼻薬、ネブライザー療法をおこないます。症状の強い人には、下鼻甲介切除術をおこなうことがありますが、最近では、外来でおこなえるレーザー焼灼術が注目されています。
急性副鼻腔炎
症状 急性鼻炎から起こり、副鼻腔(主に上顎洞、次いで前頭洞)に細菌感染が及ぶ場合をいいます。風邪の全身症状の他、強い鼻づまり、顔面(顎部)痛、頭痛や発赤腫脹を起こします。
治療 抗生剤の全身投与、点鼻剤で鼻粘膜の腫脹を取り、分泌物、貯留液の排膿を促します。さらにネブライザー療法などをおこないますが、炎症が高度で維持すれば、洞の穿刺、洗浄をおこなう場合もあります。
慢性副鼻腔炎
症状 急性鼻炎、急性副鼻腔炎の慢性化により移行します。また、歯根部の炎症が連続的に上顎洞に波及する場合、歯性上顎洞炎を起こすこともあります。鼻づまり、鼻汁や後鼻漏、嗅覚障害を起こしたり、鼻ポリープを形成することもあります。症状が進行すると、眼精疲労、球後視神経炎を起こすこともあります。中耳に対しては、耳管狭穿症や滲出性中耳炎の原因 となったり、上気道に対しては後鼻漏の為、慢性喉頭炎や副鼻腔炎性気管支炎の原因になります。
治療 抗生剤、酵素剤の内服や鼻洗浄、ネブライザー療法などの保存から治療をおこないますが、重傷の場合には、手術により鼻ポリープの摘出、鼻腔内の換気を改善する治療がおこなわれます。
嗅覚障害
症状 風邪で鼻の上方にある嗅覚で感じる細胞(嗅球)に炎症を起こしたり、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などにより嗅覚が低下することがあります。その他、頭部外傷後に嗅覚中枢の障害を受けて嗅覚がなくなったりする場合もあります。
治療 鼻の病気が原因の場合には、その原因となる疾患の治療の他にステロイドの点鼻、血行改善剤やビタミン剤の内服をおこないます。

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